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2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。 それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。 ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。 |
放浪記Vol.19 別れ・出会い |
この頃になると、3人部屋の居心地はかなり良いものになっていました。
この時期のトロントは朝は5時過ぎから夜21時頃まで明るいので、早起きしてトロントの静かな街をリスを見ながらのんびり歩き夜遅くまで遊んだ日もありました。
ボクの心の中からED BICKERTの事はほとんど消えていました。今はここトロントで何かを得ることで必死でした。そして夜な夜なリーと1日の出来事から将来の事までベランダで語るのでした。 いよいよ、タカが帰る日が迫ってきました!沢山の話をしたし、喧嘩もした。お互い助け合った。リーが居るけれどタカが帰ってしまうのは正直かなり寂しくなります。リーも良い奴だけど言葉の壁がありますからね。 そして、あっという間にタカ帰国の日は訪れました。早朝にバスに乗らなければなりません。ボクが目を覚ました時、「あれっ?タカが居るぞ!」 急いでタカに駆け寄るとまだ寝てる・・・・・「やばい!」そう思いタカをすぐ起こして支度をしました。残念ながら空港までは送ってあげられないけれど、バスに乗るまでは一緒に行くつもりでした。 エアーポート・バスのタイムテーブルを見ると、どうやら間に合わない状況。もうタクシーで行くしかない!そう決意したタカの為に荷物を前の道路まで運び、タクシーをひろいました。ここでお別れです。 「どうも、ありがとう」そう口にしながら心の中では泣いていました。寝坊したおかげでバタバタと別れることになってしまった為、言いたいこともろくに言えず、フライトの時間に間に合うかどうかだけが非常に心配になっていました。 タカを送りだし部屋に帰るとリーはちょうど起きたところでした。タカが帰ったことを知ると「I miss TAKA....」としばらく連呼していました。 ベランダでリーと一服していてもタカの話題で持ちきりでした。ボク達の上空を飛行機が飛んでいれば「タカ〜〜!」と叫んでなんとも言いようもない寂しさを味わいました。タカ、ありがとう。 タカが帰るとリ−とボクは別々の行動を取ることが多くなりました。仲が悪くなったわけではありません。リーはガールフレンドのことがずっと気になっていましたし、ボクはもっと音楽友達を作りたくて仕方なかったんです。 リーのファッションは80年代の日本のファッション。どこか時代遅れのポロシャツに淡い色合い。それを気に入っているからまた驚きでした。ボクは以前パトリックの師匠ケニ−から教えてもらったデビッドに会うことを決意しました。 デビッドにメールを送ってからもう数ヶ月がたってしまってますし、直接電話する勇気もないボクはクラブに直接デビッドを観に行きました。場所はモントリオール・ビストロ。実際にモントリオールにあるわけではありません。 トロントにある最も素敵なレストラン・バーの一つです。以前、フィル・ニモンズ、ドン・トンプソンの演奏を聴いたのもここのクラブです。一人カウンターに陣取り、大好きなクリモアを飲んでいるとデビッドが登場。割と小柄で優しそう。 デビッドのグループにはテリ−クラーク(Dr)も参加していて、少しジム・ホールのような演奏もしていました。ジムホールに5年近く師事したから当然でしょう。ファースト・セットは「かなりCoooool!!」変拍子のオリジナルとスタンダードを織り交ぜた演奏は極上のムードを出していました。 極めつけはギターのハーモニクス奏法を生かした「プレリュード・トゥ・ア・キス」!!美し過ぎます。セカンド・セットに入るとテリ−クラークの巧さが全面に押し出されました。ギターに絡むドラム。おぉ、これはキース・ジャレットのトリオやジムホールのトリオを聴いているようでした。 セカンド・セットが終わった頃、アルコールが回ってきたボクはステージ脇に入るデビッドに話しかけました。「Sounds Great!」と、まずはその機材に非常に興味を持ったので色々聞いてみたら、やはり優しい、嫌な顔ひとつせずに答えてくれました。 そして、最後に「数ヶ月前、メールを送った日本人です」と伝えるとデビッドは覚えていてくれたんです。かなり感動!「今度一緒に演奏したい!」と伝えると気持ちよく「いいよ」と言ってくれました。 ついにトロントでの音楽生活がスタートしようとしているのです! |