カナダ放浪記



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 2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。
それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
放浪記Vol.22 ハプニング
 前述の通り、この年は10年振りの猛暑ということで、冷房のない部屋に住んでいるリーとボクは未だに眠れない日が多くありました。 念願のイン・ラインスケートを購入したリーは、練習する為に夜な夜な街へ足を運んでいました。大抵帰ってくるときは傷を負ってきます。 ある日いつものように「Take Care」と送りだしました。本人は「No,No,Be Careful!!」などとニヤニヤ言っておりました。 なぜ笑顔なん!・・・リーを送り出して数分後

ウぅぅぅ〜〜〜、ウゥゥゥ〜〜〜〜!!!

けたたましいサイレン音が聞こえてきました。そのサイレン音は廊下からマンション全体に危険を知らせていました。
よりによって一人の時におこるなんて・・・・そう、このマンションは頻繁にサイレンが鳴り響き、眠りを邪魔するのです。サイレンがなれば当然消防車が2台も3台も来るし、ベランダから下を見下ろすと 警官が巡回している。なんとも物騒な場所でした。そして一度鳴り始めたら15分以上は鳴り止みません。最初にサイレンがなったのはまだタカが居る頃だったでしょうか。3人でかなり慌てたのを覚えています。 火事でもおこっているんじゃないかと部屋から飛び出したけど、周りは静か・・・うるさくて暴れているのはサイレンとリーだけといった感じ。しかし何回経験しても、本当の災害だったらどうしよう?と不安になりました。
 うるさいと言えば、左隣に住む家族は週に1回は夫婦喧嘩をしている模様。いや、奥さんの悲鳴にも似た叫び声だけが響きわたります。 反対隣の住人はパーティー好きで週末になるとベランダにテーブルと椅子を出して夕方からディナーを楽しんでおりました。 アラブ系の男性で五月蝿い人はあまり見たことがありませんが静かな女性もあまり見たことがありません。そしてボク達の住むマンションのすぐ隣のスーパーは当然アラブ系の人が多かったです。 この頃、現金が少しずつなくなってきていたのでトラベラーズ・チェックを使用していたのですが、ほとんどの若い店員はトラベラーズチェックの存在を知らず、たいてい同じ人の元へ聞きに走ります。 責任者らしき巨漢の女性・・・・初回、2回目となんとか無事に会計を済ますことが出来ました。が、3回目・・・$50のトラベラーズチェックでペプシを1本だけ買ったのがまずかったのか・・・凄い剣幕で怒り始めました。 「また、あんたか!お金を崩したいのなら銀行に行ってちょうだい!!」・・・・・うっ、こえぇぇ。それ以来、お隣のスーパーでは必ず現金で買うことにしました。(汗)
 さて、音楽の方は全く進展なし・・・・デビッドからも連絡がありませんでした。 そこで、リーに相談して一緒に少し高いレストランへ食事をしに行きました。そこでデビッドが演奏をするからです。 レストランへ到着するとバーとレストランが扉1枚で隔たっていて、あちらはガヤガヤと賑わっていたのですがレストランはカチャンカチャンとナイフとフォークの音と静かな喋り声しか聞こえません。 みんな沢山の料理を食べていますがボクとリーはサラダとピーナッツとビールのみ・・・・。ん〜〜〜これでいいのか!日本人。しばらくするとギターと小型のポリトーンアンプを抱えてデビッドが到着。 しばらくは様子を見ていましたが、デビッドが帽子をとった瞬間リーが叫びました。よりによって「デビッドの髪の毛のことを!」 気にしてるから帽子を被っているんだろうが!とリーを一喝しましたが、 リーは申し訳なさそうにしながらも小声で「ごめんよ、でもカッコ良いのになぁ・・・」って。褒めるんならもっと別の言い方があるだろう!と思いましたがまぁ付き合ってもらったのにそれは悪いので我慢しました。 セッティングを終えたぐらいにデビッドの元へ行き声をかけ「メール届いた?」と聞きました。どうやらデビッドからメールを返信しても返って来てしまうらしい。。。もう1度メールをするか電話してくれと・・・。 「なんだ、そうだったのか!!」と素直に納得し演奏を聴いていたのですがファーストセットの演奏途中に帰らざるをえませんでした。というのもリーが「帰りたい」とグズッったから・・・。ホント子供かい! 翌日早速デビッドにメールを打つとすぐ返信がありました。やっとのことで会う約束を取ることが出来ました!!
 するとスティーブからも連絡がありました。「残念ながらトロントで一緒に演奏することは出来なくなってしまったけど、もう一度会おう」との事。うまくいく時は色々な事がうまく運ぶ。ここカナダでは、うまくいかない時は行動にした方が良い結果に結びつくように思えました。 その後、リーからは「寿司を食べに行こう!」と提案がありました。そういえば、最近の食事も相変わらず卵とソーセージとキムチと韓国のり程度・・・美味しいものは全然食べていないなぁと思いました。 カナダでの寿司は先日の痛い思い出があるので乗り気ではなかったのですが、日本人の経営するところだからと聞いて・・・一緒にいくことにしまいた。ブロア・ストリートに面した「一力」というお店だったと思います。 「うまい!!」久し振りにホっとしましたよ。やはり海外に行っても食は大事にするべきです。こう、なんというか気分が乗ってきます。そして韓国人気質120%のリーは「俺が奢る」とききませんでした。 素直にご馳走になってしまった。
 その後、音沙汰のなかったパトリックからも連絡がありました。しかも、受話器の向こうからは絶好調の時の声が聞えます! 内容は「日本人の女性と会ったよ!シノブ。彼女はキョウコって言うんだ。今、隣に居るけど電話かわるかい?」 電話を代わってもらうと、まだトロントに来たばかりの大阪の女の子。日本人の女の子は街を歩くと本当によく声をかけられると聞くけれど、パトリックでよかった^^。 とりあえず「心配しなくても、パトリックは良い人だよ」と伝えてまた会うことにしました。キョウコちゃんも現時点(2005年)で日本に帰ってきていますが、たまに連絡を取っています。年に1回じゃ連絡取っているうちにはいらないかなぁ。 パトリックが電話越しに言うには「ヘイ、シノブ!全てキミと一緒なんだよ!」って。座っていた場所もボクと同じ公園の同じベンチで。彼女も一人で居たそうです。 パトリックは車を失い、マンションの部屋も変わったけれど、元気になったのがボクにとっては一番嬉しかったです。また練習もやりたいと言い始めて復活の兆しが見えました。 相変わらずのフリージャズですけどね。そして何より「She is beautiful!!!」そう連呼するパトリックはうかれ過ぎでした。


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