カナダ放浪記



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 2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。
それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
放浪記Vol.24 失恋
 リーがデートに行っている間、私は曲を書いていました。普段と違う空気、風景、物に触れるのはとても素晴らしいことでした。 次々と色々な音が頭の中になってきて、この頃作曲をする事はとても刺激的で楽しいパズルをしているような気分でした。 今まで覚えた理論を独自のものとして更にもう1歩先へ進めている段階でもあり、公園で何時間も引き続けることが多かったです。

 少し食事に出て帰ると、すぐにリーが怒りながら帰ってきました。「何度も電話したんだ、何故出ないんだ?」 「おぉ!珍しく本気で怒っているなぁ」と思いながら話を聞くと「近所のバーで飲んでいたので誘おうと思い何度も電話したそうな・・・」。「そんなことは知らない。普通に飯を食いに行っていた」と伝えると少し落ち着いた様子でした。 「ボクは嫁じゃない!」と思いつつもリーのデートがどうなったのか気になるところ。とりあえず自分の感情は抑えて聞き出しました。勿論、「今日は帰ってこないと思ってた」なんて持ち上げておいてね^^。 すると、リーが何故そんなに飲みたかったのか理由を話してくれました。なんと・・・

好きな子が韓国へ帰国する!

と・・・。「なんて酷な展開!早すぎる!」それを聞いてなんだか可哀想になってきてしまい、また2人で飲みに出かけました。 SAXPHONYという元気なおばちゃんの居るバー。ボクはこのバーが大好きでした。というよりはおばちゃんが好きだったのかもしれない。遠く離れた街の心細い生活の中で、どこか心安らぐ場所って絶対に必要だと感じています。 韓国映画のシリアスなシーンが必ず屋台のように、ボクとリーの本気の話合いはSAXPHONYでした。リーは隣の客からタバコを売ってもらうと、そのタバコをふかしながら話してくれました。 彼女が今どういう状況にあるのか?何故帰国しなければならないのか?どうにかして一緒にいる方法はないのか? もう彼女が発つ日はもう数日後と迫ってきているようで結局はどうしようもなく、「当日は朝早くに空港に行かなければならない!」と意気込んでいました。

 久し振りにパトリックと会う約束をしました。インターホンを押すと「ん?なんだか声が違うかな?」と少し疑問に思いながらも部屋に行きノックをすると 扉を開けてくれたのは明らかにパトリックじゃない人。。。「誰?」・・・・警戒している視線に気付いたのか彼は「ヘぃ!キミのことはパトリックからよく聞いているよ。俺はポール、パトリックはじきに戻ってくるよ」って・・・。 フィニックスも居ないし、このポールって人のテンションの高さもかなり怪しいが部屋でパトリックを待つことにしました。ポールは日本のことが気になるらしく、「忍」はどういう意味なんだ?って。「その質問を聞いてどうなる?」名前を付けた由来を聞くならまだしも、名前の意味を聞きたがる。 漢字に意味があるのは確かだけど、そんな学者じゃないんだから・・・。ポールに彼自身の名前をカタカナで書けるように教えている最中にパトリックが帰ってきた。←仲良くなってんじゃん。適当に挨拶を済ませ、食事をし練習をしました。 数週間練習していなかったパトリックの演奏は「ピひゃ!ピピ」っとバスクラリネットとは程遠い音を奏でていましたが、あの時は嬉しかった。今度は外に一緒に練習をしに行こう!と決めて帰りました。

 さて、週末はGATE403にスティーブではなくロン・デイビス(今度こそ)に会いに行くことに決めていました。しかしその前に迫るリーの恋した女性の帰国日。 リー自身もかなりショックだったらしく睡眠薬を飲んで寝ることが多くなったように感じました。とても繊細な奴なんです^^

彼女の帰国当日・・・・ボクは布団の中で目を覚した。ちらっと時計を見ると朝7時を回っていた。「もうリーは行ってしまったか」と思いながらふと見ると、まだリーが居る・・・しかも死んだように寝てる! 「なんだか見た光景だ!」と思いながらボクは急いでリーの元へ駆け寄り、大きな声でリーを起こしました。そうだ!この光景はタカの時と同じなんだ・・・・。リーは飛び起きると時計を見てしばし呆然。何もしない動かない。 しばらくすると「あ〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜!」そう叫びながら部屋の中をぐるぐると歩きまわった後リーは再びベッドに横になってしまいました。おそるおそる「行かないの?」って聞くとうなづくだけ、 ボクは必死に「間に合わなかったとしても行くべきだ!」と何度も言ったのですが「もう遅い」の一点ばり・・・リーは彼女と会う最後のチャンスも逃してしまったのです。


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