カナダ放浪記



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 2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。
それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
放浪記Vol.8 ユース・ホステル
 ユースホステルに住み始めて2日間が過ぎました。
 毎日のようにクウィーン・ストリートやダウンタウンを歩いていた為、この付近になにがあるかは大体分かってきました。 しかし、相変わらずボクには友達が居ません。世界各国から来る人々と話しはしましたが、それほど有益な情報は得られませんでした。
 ユース前の公園での練習は居心地の良い場所(子供を遊ばせるための場所)を見つけ、来る日も来る日もボクは練習をしました。 プロとしてのプライドなのか「絶対にハードケースは開けた状態にしない」と決めていました。 そこから収入があれば確かに助かるかも知れませんが、ボクはどうしてもそうしたくなかったんです。
 ある日の午後、いつものように公園に行くとその場所は子連れの方が遊んでいました。(当然です、その為の場所ですから) しばらく様子を見てもなかなか帰るつもりが無さそうなのでボクは仕方なく人々が歩く道路沿いのベンチで練習をすることにしました。
弾き始めてすぐ、金髪をなびかせた女性が「じ〜っとこっちを見ながら歩いてきました。」練習しているのに周りが気になってしょうがないボクではありましたが、しっかり練習していましたよ。
「Beautiful Guitar!」
そう言うと彼女は足早に自分の向かうべき場所へ歩いて行ってしまいました。勿論ボクは「Thank you!」ぐらいは言いました。へっへっ(^^)
 彼女が立ち去って1分もしない間にサングラスをかけた怖そうな兄ちゃんがボクの隣に腰掛けました。「おっ怖えぇ」っと思いつつもひたすら練習しました。
考えてみれば、あちらでは日差しが強いのでサングラスはきっと必需品なんでしょう・・・でも彼の見た目はボクのイメージするギャングそのものでした(笑) どれくらいの時間がたったでしょう。一呼吸おくと、彼が「Sounds Great!」と言いながら、サングラスを取って挨拶をしてきました。ジョンと名乗る彼はロック・ギターを弾いてるらしく、 ボクのギターを貸すと2,3曲披露してくれました。バンクーバーから仕事でトロントに来ていること、すぐ近くのホテルに泊まっていることなど、色々話ました。ボクはED BICKERTの事を一応聞きましたが、ロック・ギタリストの彼に知る由もありません。

 30分程話すと彼もまた去っていきました。ボクは再び練習を続けることに、すると今度は派手な服を着て大きな犬を連れている白人男性が現れ「Wow!Nice Guitar!!」と言いながら親しげに話してきました。
彼がアメリカから着た事、勉強をするならニューヨークに行くのが一番とか、船に乗るのはどうか?なんて言われました。ご存知のようにボクはまだまだ英語があまり話せないので船に乗ってどうするのかなんて分かりません(笑) 彼はボクの目の前で、タバコの葉を包み、その自作葉巻を吸いはじめました。ボクのタバコの禁断症状はだいぶ治まってきていたため、今度はボクの方からこの場を去りました。もう3時間近く練習しているから十分でした。

 ユースに戻ると、そこは相変わらずの薄暗い部屋。日本食が食べたかったボクはユースの前の公園の向かいにある日本食屋に入ることに・・。これが初めての日本食イン・カナダ!
 「とんかつ定食」を頼むと驚くほど薄い「とんかつ」が出てきました。今までこんな薄い「とんかつ」は見たことがありません。(苦笑)しかし、久し振りの温かい、ふっくらしたご飯にとっても幸せだったのを覚えています。
その後のユースでは日本人の旅行者と話したりして、近くに24時間スーパーがあることが判明!ここのピザ味のパンは1個1$もしないのにおいしいんです。この日からしばらくはそこのパンばかり食べていました。コーヒーはカナダのチェーン店「Second Cup」のアイリッシュコーヒーをブラックで飲む。 それだけで結構いけたものです。もちろん、パンは他にも沢山種類があったので飽きることはありませんでした。

 ステイを延長したおかげでボクはあの暗くじめじめした12人部屋から開放されました。この時ばかりは神様に感謝しました。というのも次に移動した部屋が6人部屋で毎日お日様があたり、トロントの夜景も見れる最高の部屋だったのです。
しかし、その部屋にも昼間から寝ている人はいました。この部屋は「長期滞在者部屋」ボク等の間ではそう呼ばれていました。ボク等というのは後で知り合う友達です。
 この部屋は一回一回部屋の外に出なくても6人の為にバスとトイレがある優れものでした。当然値段は変わりませんからいいでしょう(^^) ボクにとって、この部屋に移動出来たことが何よりの幸運でした。それは、この放浪記の先を読めば、理解できると思います。
 ある時、一人の青年がやって参りました。もう、ボクはこの部屋のドン(^−^)来る人来る人をチェックしましたよ。新しく入ってきた青年は日本人ぽかったのですが、ボクは少し様子を見ることにしました。すると彼は一番奥の2段ベッドの下に荷物を降ろすとベッドに頭をぶつけ「イタっ」と声をあげたのです。
「キラン!」
 ボクの目が彼が日本人だと知って輝きました。「Are you japanese?」一応、念のために聞く慎重なボク。この出会いはボクにとってとても大きなものでした。
タカと名乗る彼はアメリカに滞在しており、友人の結婚式のために一旦帰国して再び渡米しようとしたら入国拒否されたようでトロントに流れてきました。この放浪記の重要人物の1人です。(笑) 拒否された理由は日本の滞在日数が少ないので旅行者として認めないという審査官の独断と偏見による判決だったようです。この話にはボクも「ひどい」と思いました。「それだけの理由で入国させないなんて!」
横浜出身のタカとは今でも付き合いがあります。
 タカとはその後しばらくずっと行動を共にしました。お互い目標を持ちながら、お互い情報を交換し合いながら、お互い助け合いながら。 


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