カナダ放浪記



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 2002年の春から秋にかけてボクはCANADAのトロントへ行ってきました。
それはスリルと興奮の連続の冒険をしているようでした。
ここでは、そんなカナダの旅を少しずつ書いていこうと思います。
放浪記Vol.14 トラブル
 ボクは早速、ローンから貰った電話番号をダイヤルしました。
「ツー−っ、ツー−っ」
ワンコールごとにボクの心臓は心拍数が高くなっていきます。それもそのはず日本からニールウィキックのレジデンスの部屋を予約して以来、電話なんてかけたことがありません。 普通の会話でも難しいのに、相手の顔も表情も、ジェスチャーも見えない・・・そんな状態で電話をかけることはボクにとって非常に大変な事でした。「カチッ、ハロゥ?」
電話に出たのはローン本人でした。しかし勉強した通り「ローンはいらっしゃいますか?」と尋ねるとやはり本人。というか電話に出た段階で気付いていたんですが、最初に言う言葉を抜かすと覚えた言葉を全部忘れてしまいそうでした。 こんなんでよく3週間も生活できたものだと今思えば、驚きです。

 ローンには「この前の夜、クラブであった日本人だけど覚えているかどうかを尋ね」「レッスンを受けたい」と言いました。全て流れ通り!完璧だ!っと震える心臓を押さえながら(←どんなだ?)受話器を握り締めていました。 しかし、全てうまくいくはずもありません。ローンがその後何を言っているのかさっぱり分からなかったんです!しまいにはローンは呆れて、「私は日本語を話せないから英語が分かる人に代わってくれ!」と言っている気がしました。 ・・・事態は思わぬ方向へと進み始めました。仕方がないので、私はケニ−(パトリックの先生)の電話番号を伝え電話を切りました。駄目だった・・・私はそうとしか思えませんでした。 まともに会話も出来ないようではレッスンも出来ないだろうと・・・!
 その夜、パトリックの家に行き、事の全てを打ち明けました。パトリックは優しくボクを励まし、気にしないこと!と何度も何度もボクに声をかけてくれたのです。 そしてパトリックからローンに電話をかけてもらい、その電話の内容全てを翌日パトリックから聞くことにして今日は別れました。その夜、タカとリーに話したと思いますがボクはその記憶すらありません。言葉の壁はボクが思っていた以上に大きく圧し掛かってきていました。 後に知り合った友人から電話で話すことが出来るようになるまでに3ヶ月はかかったと聞きました。表情やジェスチャーといった言語以外の部分から言葉を連想して理解していたのだとハッキリと認識出来ました。

 翌日、パトリックのマンションに行くと事態は更に悪化していました。
パトリックが言うにはケニ−から連絡があり、「ケニ−はローンの事が大嫌いで電話番号を知られたくなかったようで、ボクがローンにケニ−の連絡先を教えた事をとても怒っている」との事。
そしてローンからは「言葉が伝わらなくてもギターは教えられるけれど、自宅までどうやってくるつもりなんだ?と聞いているのにそれすら分からないのでは・・・」との事。

 もうボクは穴があったら入りたいくらいの恥ずかしさと申し訳なさで、逃げ出したい状況となっていました。パトリックがなんて言おうとボクには全く聞えていません。 ケニ−からもローンからも繋がりが全く築けなくなってしまったのです。もう駄目だ!”帰国”の2文字が脳裏をよぎりました。パトリックにもあまり会いたくない状態となってしまいました。 しかし、そんな時でもパトリックはボクを連れ出し、また家に招き、「気にしなくてもいいんだ!」とボクの気分がよくなるまで声をかけ続けてくれたのです。(本当に良い奴でしょう<涙>)

 ボクの心は迷っていました。EDは見つからない、仕事も見つからない、このままでは資金もあっという間に底をつき、結局何も得られずに帰ることになってしまうでしょう。それなら今から帰国の準備をしようかとも考えていたんです。。


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