4/19 レッスン配信しました! Lesson Room

耳コピ(採譜)はするべきでしょうか?

目次

ジャズギターのお悩み相談

student

耳コピが良いとよく聞くのですが、本当ですか?誰かのフレーズを弾いても、それは即興演奏じゃないのでは?

やまだ

私は採譜をした事がないプロ・ジャズミュージシャンに出会った事がありません。採譜をしましょう。

生徒さんとのやりとり

初級者を対象に書いていきますね。

物凄く極端ですが、コピーより先に頭が働く方のレッスンをした事があります。教本で読んだ「ジャズの手法」を練習していました。実際に弾いてくれたのは、「枯葉のツーファイブをコードトーンだけで弾いていました。」それだけで1年近く練習したそうです。その演奏を聴いて、まず最初に質問しました。

やまだ

楽しいですか?

student

ジャズって大変だな・・と思うのですが、大変なものですよね?

やまだ

もっと楽しく練習してもいいのでは?

student

どんな練習ですか?

やまだ

好きなフレーズを耳コピして、そっくりになるまで演奏するのはどうでしょう?

student

それでは即興演奏ではありませんよね?
私がやりたいのは即興演奏なんです。

やまだ

どんなアーティストが好きですか?

student

ウェスとかジョーパスとか・・・

やまだ

だったら、耳コピをすべきです。

student

私はもういい歳です。コピーをしている時間はありません

やまだ

過去の偉大なミュージシャンの演奏を学ばずに彼らのように弾けると思いますか?

student

でも、よく聴いていますが・・・

やまだ

聴いただけでプレイ出来ますか?コードトーンだけを練習をしていて、彼らのようにプレイ出来るようになってきましたか?

student

・・・・

やまだ

完全な即興をしたいのであれば、コピーは要りません。
どうぞ自由に演奏してみてください。

でも、○○さんはジャズの即興演奏をしたいのですよね?
で、あればコピーは必須です。
コードトーン以外にも大切な事は沢山あります。

student

でも、物凄く時間がかかります

やまだ

そんなものです。私自身も最初の頃は2小節に1時間以上かかった時もありました。でも、次第にスピードが上がっていきますよ。結果、それがジャズ習得の一番の方法でした

student

そうですか・・・譜面に書くんですか?

やまだ

勿論です。よく聴いて、譜面に書いて、カッコ良い!と思った部分をCDと一緒になるまで弾く。そしてそれを自分のアドリブへ入れていきます。理論的な勉強を並行してアドリブを分析しながら、1年間、頑張ってみてください。もし、その間に好きなアーティストが見つかったら、〇〇さんの演奏の音楽的なレベルが一気に上がりますよ。」

student

そうなのかな・・・でも大変だ・・・

耳コピのメリット

頑なに耳コピを拒否されていた生徒さまでした。

気づいてほしい

ジャズ言語の習得は知識でどうにかなるものではなりません。赤ちゃんが親の言葉を何年も聞いて、何年もバブバブと試行錯誤するように、耳コピして、模倣してするとこと、一番時間がかかりそうで、実は一番の近道なんです。

音を採る事で、耳が良くなります。
音を採り譜面に書くことで、リズムの勉強にもなります。
同様に、読譜力も向上します。
譜面に書きため、読み返すことで、伝える為の譜面の書き方が分かります。
採譜した音を分析することで、理解力が身に付いていきます。
模倣することで、ジャズらしいノリとニュアンスが身に付きます。
リスニングとプレイを反復することで音楽が心に鳴るようになります。

まだまだ続く耳コピのメリット

分析を比較することにより、個々のアーティストの個性が分かります。
個々のアーティストの個性を知ると、世代毎にジャズの遺伝子が受け継がれ、発展されている事が分かります。
別の楽器を採譜することで、各楽器の特徴が分かります。
各楽器がジャズ演奏で何をしているのかが分かります。
常に採譜を続ける事で、自分の中に新しいモノが入ってきます(インプット)
新しいモノを演奏することで(アウトプット)より深く理解出来ます。

全く別々のそれらが、心の奥底で、自然と結び合った状態。
今まで好きだった音楽、音のイメージ、弾いてきたライン、
今一緒に演奏している仲間、今この瞬間の気持ち、
それらが自分という人間の中で、自然と融合された状態。
それが、即興演奏ではないでしょうか。

コードトーンが大事・・・これは間違いない

 教本は確かにジャズ習得に向けて大事なことが書いてあったり、新しい技術などが書かれています。でも一番大切なのは音楽なんです。2004年から書いてきた私のジャズギター 講座では、最高の先生はあなたの手元にあるCD達だ!と説明しています。私達、音楽講師はガイドに過ぎません。

 音を分析して自分なりに情報を取り出していきます。教本は困った時に「気付き」を与えてくれるもの・・・この程度でいいんです。耳コピは、どんな教本よりも身近で、安くて、色々な面に効果的に作用する万能な練習方法であり、かなりの近道なのですが、近道だと思えないのは、ご本人のジャズとの向き合い方に若干のズレが生じているからだと思います。

「ジャズ=即興演奏」だから自由だ!と思ってはいけません。それは出鱈目と言います。
自由な演奏とは、1つ1つの単語を自由に扱える自由です。辿り着くためには沢山の練習が必要です。
そして、その即興演奏を「ジャズ」にするためには必ず伝統を継承すべきだと思います。

ジャズの知識が先に成長してしまい、音のイメージがないままに理解出来たと思っていませんか?

訓練されていない頭でっかちな理論なんて、即興では全く役に立ちません。

やまだ

採譜しましょうよ。

目次