まだ、ジャズを始めたばかりの頃「ジャズには譜面がない」という衝撃の内容を聞きました。情本源は、当時インターネットも無かったので、周囲の「ロック系の音楽」をやっている知人からです。
自由に弾いてるの?すごい音楽だなー!
と、当時の私は本当にそう思っていましたが、ジャズに譜面がまったく無いわけではありません。ジャズの中でも「ビバップ・ジャズ」はアドリブ演奏を楽しむジャズですから、他ジャンルの音楽に比べ自由度が高い音楽といえるでしょう。譜面も1枚、多くても2枚で済むことがほとんどですが、ビッグバンドでは数ページに及ぶこともあります。即興要素が高いために今日の演奏がどうなるか?は、今日演奏してみなければ分かりません。ですから「著名なアーティストのライブへ行ったけれど、あまり良くなかった」となる可能性だってあります。
でも、それがそのアーティストの実力のすべてではなく、たまたまそんな日だったという事です。ただ、ジャズミュージシャンは良い演奏がプレイできるように日々練習を欠かさないので、即興演奏でも高い質を保つことができています。
ビバップ・ジャズの譜面
話を譜面に戻しましょう。ブルースは12小節を1コーラスとして、その12小節を何回も繰り返し、そのコード進行上で歌や楽器でストーリーを展開します。ジャズも同様にその楽曲で決められた小節を1コーラスとして、何回も繰り返して演奏しています。一般的なジャズ・スタンダードでは32小節が多いですね。
一般的な演奏の流れ
定番イントロもありますが、基本的にはイントロも即興演奏です。
メインとなるメロディを1回演奏します。
32小節未満の楽曲の場合2回繰り返すこともあり。
テーマと同じコード進行上でアドリブ演奏をします。ソロの引き継ぎは一般的にはコーラス単位で行います。管楽器が1コーラス弾いたら、ギタリストが1コーラス、そしてピアノが1コーラス、といった具合です。ボーカルのバックなどで大所帯(メンバーが多い)の場合に、曲の途中からソロを交代する可能性もあります。
最後に再度テーマのメロディを演奏します。
冒頭でプレイした回数と同じコーラス数になりますので、
32小節未満の場合は2回繰り返すことが多いです。
イントロ同様に定番のエンディングもありますが、基本的には即興演奏です。
テーマのメロディも自由
ここで注意しなければならないのは、決まったメロディやコードがあったとしても、その通りに演奏するとは限らないということです。メロディは崩して(フェイクして)演奏され、ソロを取る人が何コーラスのアドリブを演奏するかどうかも決まっていない場合がほとんどです。当然、ソロを取る楽器が多ければ多いほど1曲のサイズは長くなりますし、ライブなどでは、盛り上がってソロを長く演奏する場合が多くあります。知らない楽曲に遭遇すると、どこからどこまでがテーマのメロディで、どこからソロなのかさえ曖昧な場合もあります。まずはテーマと各楽器のソロに注意してよく聴くことが第1歩です。
- 短い譜面が存在する(32小節が一般的)
- その譜面の頭から最後までを1コーラスと呼ぶ
- コーラス毎に区切ってソロを交代する
- メロディやソロはその曲のコード進行上で、自由に演奏する
ここでご紹介したのは一般的なものです。例外はたくさんありますので少しずつ覚えていきましょう。